産廃処理施設 これまでの主な経緯

■2020年12月2日

大栄環境(大阪府和泉市)と石坂グループ(熊本市東区)が熊本県に産業廃棄物焼却施設のための新会社設立の事業計画の素案を提出。この時、県に提出された両社の「事業計画の概要」によると「処理能力・焼却施設約400㌧/1日(約200㌧/1日×2炉) リサイクル施設約900㌧/1日」「廃棄物の種類 産業廃棄物、一般廃棄物(災害廃棄物を含む)」「設置場所 県内北部・中央部」、さらに「2026年4月の稼働を目標」とし、加えて「設立会社について」として「①石坂グループ②大栄環境③その他(同業他社・メーカー等)」「資本金1億円未満」と具体的内容まで記載していた。

■2021年3月11日

大栄環境と石坂グループが熊本県の藤本・環境生活部長、吉澤・審議官(現在の循環社会推進課長)らと御船町上野地区の建設予定地を視察。大栄環境から「自治体も参画していただき、経営内容をガラス張りで見ていただくことも可能」などの意見を出し、県からは「人口減少社会ではごみ処理など処理人口が減ると施設とは過剰となり、自治体は維持管理が大きな負担となる。民間と連携した処理が出来れば、人口減少を踏まえたモデルケースになる」などと返答し、大栄環境らの事業計画に積極的な姿勢を見せた。

■2021年3月29日

熊本県の藤本・環境生活部長、小原・環境局長らが上益城郡の御船、嘉島、益城、甲佐、山都の5町長に対して大栄環境らの廃棄物処理場計画について説明。県からは「熊本県では(注・廃棄物の)焼却施設がなく、県外に多く出している状況であり、(注・大栄環境らが計画している廃棄物焼却施設から排出する)焼却灰の最終処分については、産廃分(注・産業廃棄物)はエコア(注・県などが出資して設立した熊本県環境整備事業団の産業廃棄物最終処分場=南関町)、一廃分(注・一般廃棄物)はOS(注・オー・エス収集センター=熊本市北区にある処分場)を念頭に検討(注・している)」と説明。これに対し嘉島町長から「実際にある(注・大栄環境らの)施設を皆で視察してはどうか。4月21、22日で良いか」などと発言している。

■2021年5月27日

県の波村・環境局長らが上益城5町長に対し、大栄環境らの産廃処理施設の事業計画について①5町直営による焼却施設②民間による施設整備③5町も一部出資する施設整備の3方式による整備手法を比較検討した結果を説明。この中で整備事業については①5町直営では86億円、②民間施設では140億円。また「安心」に関する項目では①5町直営によるものは「一般廃棄物のみの施設であり安心度は大」、②民間施設では「産業廃棄物も焼却するため地元の不安は残る」などとする比較検討の結果を説明している。

■2021年7月6日~7日

大栄環境三重リサイクルセンター(三重県伊賀市)を熊本県の田嶋副知事、藤井商工部長、藤本環境部長らと共に、上益城5町長(山都町は副町長)が視察。同リサイクルセンターでは大栄環境の金子社長らから、一廃・産廃処理可能な施設(エネルギープラザ)やバイオマス関係施設(木くず破砕施設)などについて説明を受ける。視察結果には「会社の運営は適切かつ効率よく実施されていた」「市(注・伊賀市)から(注・一般廃棄物処理)の受託した焼却も的確に実施されていた」などと記載していた。

■2021年8月3日

県の波村・環境局長、吉澤・循環社会推進課長らと5町長が、大栄環境らの「廃棄物中間処理・発電施設整備」の事業計画について「相談」。「1 今後の方針」として「大きな課題は首長等レベルで整理し、覚書締結(注・後に締結する「エネルギー回収施設等検討に関する覚書」のこと)」、「2 覚書等」として「全員協議会等(注・5町の町議会の全員協議会)での説明後、覚書締結を行う」、「3 地元説明のポイント」として「建設費がいらず地元負担軽減になること」「大栄環境と石坂グループが設立する会社に5町が出資し、影響力を確保すること」などとする「相談結果」としていた。

■2021年9月29日

上益城5町で組織する「熊本中央一般廃棄物処理施設整備促進協議会」の会議で、県の吉澤・循環社会推進課長から大栄環境らの「廃棄物中間処理・発電施設整備」の事業計画について説明。荒木・嘉島町長から「熊本市長には今回の件(注・大栄環境らの産廃施設の整備計画)の話をした。新施設が出来るまでは熊本市にゴミ処理委託することに変更はない」、藤木・御船町長からは「今後、各町議会や住民の皆様の意見を整理した上で『基本協定』(注・事業計画を実施するための環境アセスメントの許可申請等の協定)に繋げたい」との言及あり。

■2021年10月1日

熊本県の蒲島知事の立会いの下に、上益城5町長が大栄環境・石坂グループと「御船町にエネルギー回収施設等(注・廃棄物処理場のこと)を整備することに関して、熊本県を立会人として、次のとおり確認する」という確認書(覚書)を締結。この「次の通り」とは、第1条で「施設の整備について協議を開始することを合意する」、第2条で「施設の整備に関し、地元の意見等を踏まえ、市議の内容について協議するものとする」(例えば一般廃棄物等を処理する場合の搬入方法など)、第3条で「整備する施設等に関し、次の項目について検討するものとする」(例えば、施設等の整備のために法人を設立する場合の一定額の出資など)、第4条で「協議が整った場合は基本協定を結び、環境アセスメントや許可申請等、必要な手続きに移行するものとする」とした。

■2021年10月26日~27日

御船町議会議員が揃って大栄環境の廃棄物処理場(三重リサイクルセンターなど)を視察。

■2021年11月22日

御船町上野地区の住民を対象にした大栄環境らの廃棄物処理場施設の事業計画に関する第1回目の説明会が熊本県、5町長の主催により、七滝中央小学校体育館で開催。

■2022年3月28日

蒲島知事の立会いにより、上益城5町長が大栄環境らの「民間エネルギー回収施設整備」(注・廃棄物処理施設)の事業計画を進めるための環境アセスメント(注・開発計画によって予想される環境への影響などについて調査・評価すること)実施に向けた「基本協定」を締結。この「協定」の内容は①一般廃棄物、産業廃棄物の処理(有害廃棄物等は取り扱わない)②事業者が設立する新会社への5町による一定額の出資③5町内で発生する一般廃棄物は事業者に処理を委託④事業計画について5町が適切と判断した場合、改めて環境保全協定及び立地協定等を締結などとした。

■2022年7月28日

熊本県、藤木・御船町町長、上益城広域連合、大栄環境、石坂グループらが大栄環境らの廃棄物処理場計画について、初めて御船町民全体を対象にした「町内住民説明会」を開催。この説明会の内容を伝える2022年8月号の「広報みふね」では「説明会には約90名が参加し、説明後の質疑応答では『交通量増加、交通安全』、「道路路面への影響』『地下水など自然環境への影響』などに関する不安の声や対策を求める意見がありました」と記載しているよう、処理場計画に対して賛同より反対・不安を訴える町民の声が多数を占めていた。

 

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